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「思い」は「体」と同義語、情念の漫画家谷口ジロー逝く [訃報]

谷口ジロー.jpg

「思い」は映画界の決まり文句である。
現場で助監督がよく口にするらしい。
例えば「次の場面は食後1時間たってる思いで、食卓は紅茶だけです」。
あるいは「思いとしては、主役は家にいったん戻って背広で手ぶら。いいですか」と。

「体(てい)」とも言い換えられる言葉だろう。
脚本に省かれている設定を読み取り、画面の隅々みまで気を配る。
部屋のしつらえや登場人物の手元一つに、作り手の意図がこもっているなら、観客の側の味わいも深まるはずだ。

漫画界でそれに精魂を傾けた一人が、悲報に接した鳥取市出身の谷口ジローさんだ。
作家関川夏央さんと組んだ「『坊ちゃん』の時代」、久住昌之さん原作「孤独のグルメ」と人気作を世に送ってきた。

地面に落ちる影の濃淡で季節を描き分け、雲の景色一つで暑さや涼しさを表そうと心掛けた。
一こまだけに丸一日を費やしたこともあると聞く。
小津安二郎監督の描写をほうふつとさせる」と日本以上にフランスで名を知られ、勲章も受けている。

中国地方の最高峰、大山を遠く望んで育ったせいか、山岳漫画はお手の物だった。
母なる山が大雪をかぶった時に不意の旅立ち。
どんな「思い」だったのだろう。




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人の3倍働き、3倍遊んで、でっかく地球を生きた人 [訃報]

松方弘樹逝く.png

利口でなれず、馬鹿でなれず、中途半端じゃなおなれず・・・。
役者稼業の例えである。
もうひとつ別格がスターだと、亡き山城新伍さんがかいている。
「千両稼いで、余さず使ってこそ千両役者と言われる」。

後輩の映画俳優だったこの人も、聞かされたのではないか。
きのうテレビ各局の追悼番組で「打ち上げに、身銭をポーンと1千万円・・・」式の豪快伝説が語られていた。
昭和の銀幕スター、松方弘樹さんが息を引き取った。

ビートたけしさんのテレビ番組に出たのも、映画人として広告塔の腹積もりから。
眼光鋭い役柄とはギャップの大きい笑い上戸も隠さず、お茶の間の人気をさらった。
ヒット作に沸いた昨年の邦画界を病床でどう眺めていたのだろう。

口癖は「人の3倍働き、3倍遊んで、でっかく地球をいきてやろう」。
半生記は、仕事よりも多くの紙幅を釣りに割いている。
カジキやクロマグロの一本釣りに焦がれて、海から海へ。
萩市の見島沖でも大物を追った。

享年74歳。
人生の幕を引くには、あまりにも早すぎた。
半生記のおしまいに、こんな川柳が見える。
「我が仕事釣りにも似たり浮き沈み」。
その魂は今ごろ、大海原を駆け回ってるかもしれない。




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フィデル・カストロ氏逝く、暗殺計画が638回ネス公式記録 [訃報]

カストロ.png

世界一長い葉巻・・・。
ギネスブックに載るキューバの老職人の挑戦は、8月に90メートルに記録が更新されたばかりだ。
フィデル・カストロ氏の90歳を祝うものだったが、急な訃報に消沈していたよう。

当のカストロ氏もギネス公式記録を持つ。
革命を率い、指導者を退くまでの半世紀に暗殺計画が638回。
大半が米中央情報局(CIA)による。
葉巻への毒物注入、野球好きにつけ込んだボール爆弾など映画も顔負けの珍作戦が立てられたらしい。

いかに米国の目の上のたんこぶだったかが分かる。
あるいは強運とともに危険を避ける見えない力も持っていたか。
評価は分かれようが、激動の20世紀を動かした人物なのは間違いない。

たっての希望で13年前に広島入りした。
核戦争寸前だったキューバ危機を踏まえ、「人類は危険のふちから逃れてない。ヒロシマに学べ」と熱弁を振るった。
近くで接した記者は信じ難いオーラを感じたそうだ。

キューバが核兵器禁止条約を後押しするのは、希代のリーダーの願いでもあろう。
後継の弟は昔のあれこれがうそのように米国と和解を果たしたが、トランプ新政権下では再び嵐の兆しもある。
カリスマなき21世紀の世界の行方は。




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100歳昭和天皇の末弟三笠宮さま逝去、旧軍を経験後平和を希求 [訃報]

日本の一番長い日.png

終戦70年の昨年に公開された映画「日本のいちばん長い日」は骨太な力作だった。
日本の無条件降伏までの内幕を陸軍大臣の阿南惟幾(あなみこれちか)を軸に描くが、省かれた史実もある。
玉音放送3日前、阿南が三笠宮様に会ったことだ。

殿下は陸軍に身を置いていた。
和平を望む昭和天皇を、徹底抗戦へ翻意させてほしいと願う阿南を強く叱責する。
その逝去は昭和史の舞台で重い役割を果たした証人を失うことでもある。

軍部不振は参謀として赴いた中国で「聖戦」の名の下の残虐行為を見聞きして芽生えたようだ。
平和な日本でオリエント研究に一方、戦争への反省を口にした。
戦後40年近くになっても「今もなお良心の呵責にたえない」と著書で吐露している。

専門分野を超え、発掘の竹ベラを自ら手にしたこともある。
国民と一緒に、偽りのない歴史を今度こそ残したい。
そんな願いに貫かれていたのかもしれない。

歴史研究はおのずと戦乱と向き合う。
平和とは戦争の休止期間・・・。
最後の著書では厳しい見方を示し、「その平和の期間を1年でも長く保つように、最大の努力を尽くさねばならない」と力を込めた。
重い言葉を今こそかみしめたい。




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目力名優平幹二郎さん逝く、また一つの時代の終焉 [訃報]

平幹二郎.png

平幹二郎さんは俳優として目鼻もついていなかったころ、面接審査で主役を射止める。
「私をにらんで」「もっと」。
いきなりの求めに応じたところで「はい、合格」。
半端ではない目力だったのだろう。
思わぬ訃報に接した。

素顔は至って恥ずかしがり屋だったらしい。
広島市の小網町に生まれて、程なく父とは死別。
現在の府中市上下町にいた親類のもとに疎開し、被爆は免れたものの、孤独癖が習い性になったと、エッセイスト関容子さんのインタビューに答えている。

いきおい、一人で楽しめる映画を思春期に覚える。
お気に入りは、「悲恋」「オルフェ」など当時はやりのフランス映画や時代劇。
裏山の神社に行っては一人芝居でものまねをしていたという。

上京し、演技の土台を築いた劇団を離れ、劇団四季の舞台や映画、テレビ界へと活躍の場を広げる。
半世紀近く前の大河ドラマ「樅(もみ)の木は残った」の侍ぶりが忘れられない世代もいよう。

芸歴60年のことし5月、仲間で演出家の蜷川幸雄さんを見送っている。
落胆はさぞ深かったろう。
告別式で読んだ弔辞にはこんな一節が見える。
「ありがとう。さようならは言いません」。
私たちも、ほかに言葉が見つからない。




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タイ国の柱、国父と慕われ続けたプミポン国王逝く [訃報]

プミポン国王.png

十数年前タイ旅行の前に求めた三島由紀夫の「暁の寺」を久々に読み返す。
運河と仏塔の都、バンコクが妖しくも美しく小説に描かれる。
「メナムの対岸から射し初(そ)めた暁の光を、その百千(ももち)皿は百千の小さな鏡面になってすばやくとらえ」という一文に傍線を引いていた。

私も訪れたワット・アルン(暁の寺)の塔には、無数の陶器がちりばめられる。
小説の表現を借りれば、多くの仏塔は暁の光を最初に受け、夕日の反映を最後までとどめる。
日のある間にさまざまに色を変えるのだ。

プミポン国王の70年に及ぶ在位もまた、最後まで光をまとうものだったに違いない。
国父と慕う民が嘆く中、病没した。

兄の急死で戦後の混乱期に即位する。
時の首相の思惑で生まれた「タイ式民主主義」の象徴であり続けた。
自らの権威を背景に、政治対立を調停する国王の姿。
多くの日本人がニュースを見聞きして驚いたことだろう。

だが、ここ10年の危機では、神通力にも陰りが。
富める者、貧しい者の溝の広がりが大いに影響していよう。
調停役も代替わりするのだろう。
バンコクは地元ではクルン・テープ(天使の都)というそうだ。
争いがあっても、おおらかに鎮める国であれ。

ワット・アルンの夜景





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「民間戦災障害者」援護運動家杉山千佐子さん逝く、河村たかし名古屋市長の師 [訃報]

杉山千佐子.png

名古屋城の天守閣を、昔ながらの木造で建て直すかのどうか。
目下、市議会の焦点らしい。
名物市長の河村たかし氏が推し進めるプロジェクトは慎重論も根強く、先行きはまだ見通せない。

大胆な言動で物議をかもす市長にも膝を打つ施策がある。
戦時下の空襲負傷者への見舞金を独自に支給する、全国でもまれな制度もその一つ。
市民のつらい記憶を刻むため、おととし「民間戦災傷害者の碑」も建立した。

そんな市長の背中を国会議員時代から押し続けたのが、先月101歳で旅立った杉山千佐子さんだ。
原爆以外の戦災救済が置き去りの戦後。
米軍の空襲で左目を失い、障害を抱えながら国の補償を求める組織を独力で立ち上げ、運動に生涯をかけた。

大きな眼帯に車いす。
その姿を広島でも見かけたことがある。
国の援護策を勝ち取るために「被爆者と戦災者が手をつなごう」と繰り返した訴えを、私たちはどこまで受け止めてきたか。

ノーベル平和賞はコロンビア大統領に決まった。
むろん大きな意義がある。
ただ本当の意味で平和のとりでを築けるのは、VIPではなく惨禍を肌で知る人たちの声であることも忘れまい。
きょう名古屋で杉山さんを送る会がある。




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タグ:杉山千佐子
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カープ優勝の陰で逝った、元ミスターカープ追憶の涙 [訃報]

山本一義.jpg

10月なのに蒸し熱い。
広島の街にこもった熱も一因か。
カープ優勝を祝う特売は続き、花電車が走る。
熱気に水を差さぬようにと、往年の主砲山本一義さんが世を去ったことは伏せられていたという。
訃報にふと秋風を感じた。

低迷期の球団を支え、あの41年前の初優勝へと引っ張った。
当時、選手や監督らが歌い継いだ数え歌のレコードでは名調子で自らの歩みを披露している。
「とことんバットで生きてきた/カズさんホンマのいぶし銀」。

地元出身の強打者として鳴り物入りでプロ入りするも、すぐ壁にぶち当たった。
その時に長嶋、王ら天才の隠れた努力を知る。
バットを振り続けながら理想の打撃フォームを追い求めていく。
「学者肌」の選手はやがて、ミスターカープと呼ばれる。

美しい完成型のスイング。
初の日本シリーズで放った現役最後の本塁打はファンの語り草となる。
その野球哲学で、他球団からもコーチや監督に請われた。
古巣では山崎隆造さんらを鍛え、新井貴浩選手にも助言した。

教え子の活躍を病床で見守り、25年ぶりの優勝に目を潤ませたそうだ。
カズさんのために・・・。
日本一を目指して選手もファンも熱くなる理由が、また一つできた。




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「たいまつ」発刊反戦訴え続けた、むらのたけじさん亡くなる [訃報]

むらのたけじ.jpg

新聞「たいまつ」を始めて16年過ぎた。
なぜか地元の有力者が祝賀会を開いてくれるという。
宴たけなわで真意をただすと、「たいまつはおらだちの敵だ。だからつぶすわけにはいかぬ」という。
きのう訃報を聞いた、むらのたけじさんの著書「99歳一日一言」から。

戦争に加担したことを悔いて敗戦と同時に大新聞を辞め、郷里秋田で権力批判の論陣を張る。
保守の人たちとは水と油だ。
祝賀会には思惑もあっただろうが、ともかく彼らには「敵に学ぶ」度量があったと受け止めた。

そんな昔語りを通じて、晩年は憎しみが憎しみを呼ぶ世界の悲劇を憂えた。
いや、人ごとではない。
ヘイトスピーチに現れる、この国の危うい風潮も。

学生時代、作文に「半信半疑」という語を訳して用い、スペイン講師に叱られる。
「半分信じる」なんて、ありえない・・・。
以来、その言葉にも似て日本は「あやふやな国」に見られている、という思いが強くあった。


だから憲法9条に魂を入れよ、と説いた。
現実は立派な条文と裏腹じゃないか、と。
「一日一言」に「強風でも散らぬ葉がある。無風でも散る葉がある」と記す。
ことの行く末を風のせいにするな・・・という遺言と聞く。


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筋肉鎧の名横綱千代の富士、ウルフの称号とともに伝説に [訃報]

ウルフ.jpg

「おまえ、三段目か」。
ちゃんこ料理店主の問いに、少年は「いや、幕下です」。
店主は内心驚いた。
見たところ体重は80㌔そこそこの身体で幕下とは。
見下されたのに嫌な顔一つ見せない。
「こいつ、ガッツがあるぞ」。
石井代蔵さんの評伝「千代の富士一代」から。

かつては目だけ、ぎょろつかせたオオカミだった。
小さな体で大きな相手をつり上げようとして、何度も肩を脱臼する。
ならば筋肉というよろいを強くすればいい・・・。
常識を超えた筋トレに努めてウルフに。
61歳で伝説の人になるとは、早すぎる。

父の秋元松夫さんは北海道のコンブ漁師。
陸軍船舶司令部の一兵卒として広島で被爆した。
息子の横砂昇進を機にそれを明かした。

力士の息子がよくけがをするのは原爆のせいではないか。
自分を責めたという。
迷惑が掛かってはいけないと、口を閉ざしても来た。
賜杯とまな娘を両手に抱いて写真に納まる横綱。
小さな漁村に残した父たちへの思いの証だったかもしれない。

評伝によると、けが続きの頃は人呼んで「だめの富士」。
辞めようとしたが、親に恥をかかせまいと思い直す。
今はもう、いつでも北の空に帰れる・・・。


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